ぐちゃぐちゃ

□いつのまにかいっぱい
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あぁ、また。

やっとの思いで仕事が終わって、やったー!お風呂入って寝るぞー!なんて思っていたら、あたししか住んでいないハズのあたしの、あたしの家(重要なんで二回)には誰かがいた。
また来た。性懲りもなくまたきやがった。


ベッドの上で猫と一緒にごろごろしてたそいつはあたしが帰ってきたとわかれば、ガバッと起き上がって「ルーシィ!」と声をあげた。
その声に対してあたしは問答無用で回し蹴り一発。なんで毎日毎日いるんだ。
ぶっちゃけうざい。あたしのリラックスタイムは失われていく。


「腹減ったー。飯食おうぜー」
「なんでよ。ていうか帰りなさいよ」
「オイラ達せっかく待ってたのにねー」
「なー」
「何回言ったかわかんないけどこれ不法侵入よ。犯罪よ。死刑よ」
「たかがルーシィの部屋ごときで死刑ってやばいなー」
「ああああぶっ飛ばしたい」
「ナツ!ルーシィ切れてるよ!」
「こ、怖えな!」
「まじで首落とすわよあんたら」


こうも毎日だと本当にいらいらする。仕方なしに料理を始めれば途中つまみ食いはしてくるし、背中をつーってやって来るし(あれ超苦手なのよね)。
ご飯を食べさせて、うまいな、って言って笑ってくれて、それに対しては不満はない。やっぱり自分の作ったものが褒められるってすごく嬉しいし。ご飯を食べた後ナツとハッピーはあたしがお風呂入っている間に窓から入っていく。風邪が入ってきて寒いから玄関から入れって言ってんのにあぁもうむかつく。
でも今日も同じようにきっと窓から帰って行くんだろうなって思ってお風呂にゆっくりつかった。多分、不満からくるものではない溜息をついた。
でもなぜか湯船から上がってからもナツとハッピーはいた。ていうかベッドで寝てた。あれーまじふざけんなよこのやろう…。


「…ナツ」
「んぁー、ルーシィ風呂終わったのか?」
「うん、終わった。なんでいるの?」
「んー…、寝る」
「寝るなっ!」
「ん、寝る」
「いやいやだから寝るなって、ぎゃ!」

女の子らしくもない悲鳴を上げればぐいと引っ張られてベッドに倒れこむ。

「ななな何すんのよ!」
「んー」

何こいつ寝惚けてる?何それ何それ何それ。
ていうかこの状況。あーもう我慢ならない。

「ふ…」

「ふざけんなー!!!」



近所迷惑も考えずにそう叫べばナツたちがびっくりして目を覚ましたのを合図にあたしはマシンガントークを浴びせた。
迷惑だとか迷惑だとか迷惑だとかそんな内容の。

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「はー…」
ナツ達に文句を言ってから三日。あの二人はそれっきりうちに来ることはなかった。
なんていうか、楽なんだ。楽なんだけど。
ギルドでもなんかよそよそしいし、あの煮え切らない態度はなんなのだろう。あたしへのあてつけなのだろうか、なんて考えてみてもあたしが悪いとはおもえない。

「なんなのよ、一体…」

もやもやもやもやもや。
まさにそんな状態。そんな感情が渦巻いてる。

「ナツ…」


言葉に出したとたんに出てきた、前みたいに一緒にいたい。

「…何、それ」

意味分かんない。あたしはあんなにもナツをうざったく思っていたはずなのに、今はこんなにも欲してる。
ナツが、恋、しい。気がする。

毎日ひとりぼっちの家に帰るはずなのに誰かがいる安心感も、一緒にご飯を食べてくれる温かさも、嬉しかった。
最初はなんだかんだ言って嬉しくて、あたしもそのことはわかってた。
けどそれが当たり前になってしまったことであたしは見失っていたわけだ。そーかそーか、そういうこと。

「…ナツ、寂しい」
「俺!?」



「な、ナツ!?な、あんたいつからそこに」
「ミラがルーシィのとこ行って来いって言うから」
「な、にそれ。ミラさんかよ」
「いや、おれはルーシィのとこ行きたかったんだけどルーシィに怒られちまったからさ、なんか駄目なのかなーって思って」
「…怒ってない」
「いや、あれは完全に怒ってただろ」
「怒ってない」
「はぁ?意味わかんねー」
「怒ってないの!意味分かんなくないの!ナツのバーカ!」
「お、俺馬鹿じゃねぇし!」
「馬鹿よ馬鹿、馬鹿すぎる馬鹿!もううざい!」
「なんだよそれ、じゃあもうルーシィの家言っちゃだめなのかよ?」
「別にいいよ!てか来なさいよ!」
「ルーシィ、なんかおかしくね?」
「お、おかしくなんかないわよ!いいから来なさい、よ!」
「へいへい。んじゃ今日は一緒に帰ろうぜ」
「…わ、わかったわよ!」


*****
ツンデレルーシィに目覚めた!

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