その他
□【国崎出雲】
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松は昔からモテた。
靴箱や机の中にラブレターが入ってるのは当然で、告白なんかもしょちゅうされていた。
けれど、松はその度に告白を断り続けた。
そんな松の態度に、俺は嬉しかった。
誰にも松をとられる心配がなくて安心していた。
チビと会うまでは。
自慢じゃないが、俺は松のことならなんでも分かる。
ずっと、松だけを見ていたから。
だから、あの日松がチビに恋をしてることをはじめて知った。
それに、俺の胸がザワザワ騒いだ。
胸が締め付けられた悲しみと同時に、なんで俺じゃないんだと怒りが込み上げてきた。
ぐちゃぐちゃの感情に潰れそうな俺に、松はチビが男だと初めて知ったようだった。
失恋。
松が失恋をした。
それに先程までの感情が嘘のように晴れた。
けれど、そのすぐ後にチビに触れた。
松が、触れた。
松が、俺に久しく触れてない松が。
俺はイライラを抑えられず、すぐにその場から消え、家に帰った。
俺は家に帰ってすぐ、自室に籠った。
布団の上にねっころがって、目を閉じた。
先程の光景が頭から離れない。
また、俺はイライラしてきて財布を持ってゲーセンに行った。
あの光景を忘れるように、まだ仲良かった頃の松を思い出すように。
(もう一度、あの頃に戻りたいなんて思う俺がいるんだ)
ー終ー
三巻から更に妄想。