その他

□【国崎出雲】
1ページ/1ページ


松は昔からモテた。


靴箱や机の中にラブレターが入ってるのは当然で、告白なんかもしょちゅうされていた。


けれど、松はその度に告白を断り続けた。


そんな松の態度に、俺は嬉しかった。


誰にも松をとられる心配がなくて安心していた。


チビと会うまでは。


自慢じゃないが、俺は松のことならなんでも分かる。


ずっと、松だけを見ていたから。


だから、あの日松がチビに恋をしてることをはじめて知った。


それに、俺の胸がザワザワ騒いだ。


胸が締め付けられた悲しみと同時に、なんで俺じゃないんだと怒りが込み上げてきた。


ぐちゃぐちゃの感情に潰れそうな俺に、松はチビが男だと初めて知ったようだった。


失恋。


松が失恋をした。


それに先程までの感情が嘘のように晴れた。


けれど、そのすぐ後にチビに触れた。


松が、触れた。


松が、俺に久しく触れてない松が。


俺はイライラを抑えられず、すぐにその場から消え、家に帰った。


俺は家に帰ってすぐ、自室に籠った。


布団の上にねっころがって、目を閉じた。


先程の光景が頭から離れない。


また、俺はイライラしてきて財布を持ってゲーセンに行った。


あの光景を忘れるように、まだ仲良かった頃の松を思い出すように。


(もう一度、あの頃に戻りたいなんて思う俺がいるんだ)
ー終ー
三巻から更に妄想。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ