書き下ろし童話だよー
□お菓子の国のしつじーさん•番外編1
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「あ…あのっお願いがあるんですっ!」
そう言って、かわいらしいその女性は目をウルウルさせてボクを見上げてきました。
「どうしましたか?」
その方がすごく真剣で、つらそうだったのでボクはやさしくたずねます。
「あ…あのっあたし…っあたし…」
「大丈夫ですよ。落ち着いてください。すこし冷たい飲み物でもいかがですか?ハーブティは落ち着きますよ」
「…あのっお願いがあるんですっ!お父さんを助けてくださいっ!」
その方が頭を下げてきました。
「え…」
「お父さん…うちのお父さん、執事のメェさんって言います。すっごく頑張りすぎちゃってて…でも…倒れそうで不安なのっ!タベルノダイスキさん、お願いしますっ!お父さんのそばに来てくださいっ!」
……。びっくりしました。羊の執事のしつじーさん、ことメェさんのうわさは聞いていました。メェさんの娘さんに直接声をかけてもらえるなんて。すごくうれしいです。
「…顔をあげてください」
ボクはやさしく言いました。
「あなたのお気持ちやかんがえはわかりました。ボクもメェさんのうわさはうかがっていて、気になっていたんですよ。メェさんもしあわせですね。こんなに愛らしくてやさしいお嬢さんがいらっしゃるんですから」
ポッ。
お嬢さんが真っ赤になりました。
「…タベルノダイスキさんてモテるでしょうね」
え?
「い、いえ。まさか」
ふふ。ボクはわらいました。
「全くですよ」
「あの…でしたらあたしと…お付き合いしてくれませんか?好き…ですっ!」
…ええ?
こんなかわいらしい方が?ボクを?
「ええと…ボクで良いのですか?」
「はい」
あなたが良いのです。