小話
□俺達の日常。
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【良い子は真似をしないでね。】
プロモーションビデオ撮影の為、今は既に廃校になってしまった小さな村の小学校を訪れた[REQUIEM]5人。どこか懐かしさの残る校舎を、休憩も兼ねて見て回っていた。
「なんか懐かしいな。特にこの黒板」
タツヤが落書きの残っている黒板にそっと手を触れながら言う。
「は? 何で黒板? あ、黒板消し係だったとか?」
その様子を見て、櫻が不思議そうに聞いた。
「いや、そういうわけじゃないんだけどね。俺黒板爪でひっかくの好きでさ」
「はぁ!? タッちゃん頭おかしいんとちゃう? あの音好きやなんて……うわっ、想像しただけで鳥肌立ってきたわ!」
タツヤの言葉を聞き、自分の両腕を抱えながら丙が本気で嫌そうな顔をする。
「いや、俺だって苦手だよ。でもね、この音聞いて皆嫌がるじゃない? 俺はその顔を見るのが大好きで…………」
ふと言葉を止めると、タツヤは触れていただけの黒板に長い爪を立てた。
「や、やめろ、タツヤ!」
「はやまるなっ!」
「ひぃ!!」
「ぎゃーっ!!」
古びた校舎の一室で、嫌な金属音と4人の悲痛な叫び声がこだましていた。
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悪戯大好きサディスティックボーカル。