小話
□俺達の日常。
15ページ/26ページ
【VS】
『こんにちは〜』
『ダイヤモンドダストでぇす』
「やっぱ可愛いよな〜。ダイヤモンドダスト」
家に一台だけあるテレビの前でだらしなく顔をにやけさせながら、マサトは言った。
「そう? ただのぶりっこじゃん」
チャンネル争いに負けたユウは、面白くなさそうにマサトを睨みつけていた。
「ねぇ、それよりいちごエンジェル見ようよ。今日急展開なんだからさぁ」
そう言って、マサトの脇に置いてあるリモコンに手を伸ばす。
「無理無理無理! 俺二次元受け付けねーんだよ。つか、そっちの方がぶりっこじゃんか」
リモコンをユウから守り抜いたマサトは何度も首を横に振ってみせた。
「失礼な! いちごちゃんはねぇ、何があっても絶対諦めない強い子なんだよっ!! あんな可愛くもないぶりっこと一緒にしないでくれる?」
「あぁ!? 何言ってんだよ! アニメなんかよりずっと可愛いね!!」
「いちごちゃんの方が可愛い!!」
「ダイヤモンドダストだ!!」
熱の入った二人は、テレビを見ることすら忘れて互いに怒鳴り散らした。
「……とりこみ中悪いんだけどさ、来週の日曜彼女来るからお前らどっか出かけててくれないか?」
そんな二人を離れた所で見ていた蘭は、多少軽蔑を含んだ視線を送りながら呟く。
「……この超現実主義者! 空気読めよ!!」
「絶っっ対邪魔してやるからね!!」
「言っとくけど悔しくなんかねーからなっ!」
二人は言い争うのをやめ、一人現実的な蘭を激しく攻めたてた。
**********
悔しくなんてないもん。