小話
□俺達の日常。
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【少し黙っとけ★】
「おおっ……わわ……! うひゃっ!」
「……丙、うるさい」
一人テレビを見ながら奇声をあげている丙に向かって、キメラはやかましそうに眉をしかめた。
「し、しょうがないやろ、ほんまに怖いんやって! キメラくんも見てみい。夜眠れなくなっても知らんで!?」
丙は生々しい血しぶきのあがるホラー映画を怖がりつつも真剣に見ている。
「やっぱ洋モノは技術がちゃうもんなぁ……」
「日本だった負けてないよ?」
「タツヤ……」
ドアを開けて部屋に入ってきたタツヤが、満面の笑みで佇んでいた。
「技術は劣るかもしれないけど……歴史を見れば日本だってなかなかのもんだよ。
特にこれなんかどう? かの織田信長がやっていたとされる拷問も兼ねた処刑方法。簡単に言えば打ち首なんだけど、ただ首を切り落とすだけじゃないんだ。罪人の体を頭だけ出した状態で土に埋めて道行く人に徐々に首を切らせていくんだ……。こうすればいつくるかも分からない死と常に隣り合わせ。しかも苦しみが増すように刃はノコギリのようなスパッと切れにくいものでギコギコとね。
想像してごらん? 恐怖と苦悩に歪んだ罪人の顔! そして地面に染み込む鮮血!! 薄い皮一枚で繋がった生気を失った首……!!」
「タッちゃーーーーん!!」
「もう喋るな!!」
鳥肌を立てながら耳を塞ぐ丙とキメラ。興奮気味に声を荒げるタツヤを押さえ付けた。
「あははっ。やだなあ、俺ってば。ちょっと興奮しちゃった。でもこれ映像化したら結構面白いと思うんだけどなあ……」
平静を取り戻したタツヤは名残惜しそうに呟く。
タツヤの事細かな解説を想像してしまった二人が夜眠れなくなったのは言うまでもない。
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落ち着け変態。