小話
□俺達の日常。
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【神のお導き】
「うあーっ! ちくしょう!!」
「……どうかしたの?」
帰ってくるなり怒声を発しながら物に当たり散らすマサトを、多少冷ややかな目で見ながらユウは聞いてみる。
「ユウー、聞いてくれよ。俺ティッシュ配りのバイト始めたんだけどさぁ、誰も受け取ってくんねーの! 俺一人でよろしくお願いしまーす……って、超虚しいじゃん!!」
「うっるさいなぁ……近所迷惑!」
「痛っ!」
髪の毛を掻きむしりながら暴れるマサトをなだめるように、ユウはその頭めがけて手刀を振り降ろした。
「ってーな、何すん……」
「僕に良いアイディアがあるんだけど」
マサトの言葉を遮り、にっこりと笑って言った。
「アイディア〜?」
なんとなく嫌な予感はしつつも、興味本意で聞いてみる。
「巫女さんの格好して配ればいいよ。巫女さんって言うなれば神の使いでしょ? そんな人が配ってるもの無視して行ったらなんかバチ当たりじゃん。きっと皆受け取ってくれるって! なんなら僕が衣装貸そうか?」
「らーんー、俺の愚痴を聞いてくれーっ!」
やたら嬉しそうに話すユウを無視し、マサトはテレビゲームに明け暮れる蘭の元へ走り寄って行った。
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コスプレ大好きっ子。