ハクシュ文(過去)

□チョウノウリョクノアサニ
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コポコポコポ…






コーヒーの香ばしい香りが鼻につく






食パンは今コンガリ焼けてる最中で






サラダも作ってやろうと俺は腕をふるう






でもさっきからヒロが気になって…





だって手伝いにも来ないんだもん




「ねえヒロ、さっきから何してんのー…?」






少し遠くにいるヒロに向けて、いつもより大きな声を届ける





伺える限りでは寝室のベットの上、







ちょうど真上にある電気からは長い紐が真下に垂れる





それをなんだかじっと見てる様な…









「……………うん…。」







「えっ?何?」





レタスをちぎりながら耳だけを傾けた





「ちょっ…もうちょっと…。」






少し疑問が浮かびながらもサラダ作りに集中した






「もう出来るよー。」






「はーい…!」





甲高い音をたてたトースターからパンを取り出してお皿に乗せる





サラダはちょうど今出来た





テーブルに一つずつ並べていく





えーっと、後は…






「藤、ごめんね。すげえいい匂い!」





トタトタ音をたてて近づく足音に向かって視線を移すと、




ヒロはフォークを持って笑顔で俺を見てた






「あっ、そうそれ。フォークだ!」





向かい合って座って出来たての朝ご飯を食べる




こんな風に二人向き合う朝はあまりないから、いいもんだな。なんて笑顔がこぼれる





「ヒロ、さっき何してたの?」





さっきの疑問を解決したくて投げ掛けたら、眉間に皺を寄せてヒロは俺を見た





「笑わないって…約束する?」



「うん、するする。」




「あのね、その〜…超能力の実験!」





「へっ?」





「あの紐見てたら、なんか動く気がしてきて、でっ…でね!!」





「ぷっ…くくっ…。」





小学生みたいなヒロが可愛くて、思わず堪えれなかった笑いは声に出た




「藤!わっ笑わないって言ったじゃん///もう絶対言わないからな!」




「ごっごめって…くくっ。」




止まらない笑いと一気に真っ赤になるヒロの顔




それを見てやべって正気に戻る





「ごめんって。もう笑わないから!」





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