小説
□-+*初雪の日は…*+-
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-+*初雪の日は…*+-
今日はやけに冷え込むと思って外を見たら、視界が真っ白だった。
「…雪ぃ?!」
アスランは素っ頓狂な声を上げ、窓に駆け寄る。
確かに自分の視界には雪が今尚降っている。しかし、例年はもっと初雪は遅い時期のはずだ。
「……これが所謂、異常気象ってやつなのか‥?」
違うかな‥?と思ったが他の答えが見つからないので、まぁそうなんだろうな‥と思って暖房器具を付けた。
「う〜〜……寒い‥!」
身震いをしながら部屋が暖まるのを待つ。こんな日は外に出ないに限るが、無理なんだろうな…とも同時に思った。
きっと約一名が、とてもおおはしゃぎで家に来ると思うから。
──ピンポーン‥
するとタイミング良く、玄関のチャイムが鳴った。
そして‥
──ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン…
早く出て来いと言わんばかりに連続でチャイムが鳴り響く。
アスランは急いで玄関に行き、勢いよく扉を開けた。
「うちのチャイムまた壊す気か!!」
「おりょ、やっと出た!アスラ〜ンvv」
怒られた事など全く気にしない様子で、チャイムを連打していた本人がガバッとアスランに抱きつく。
アスランはあらかじめ予想していたのかしっかりとその華奢な身体を抱きとめ、そのまま目の前にある栗色の頭に頭突きした。
「狽ぅっ?!………痛いよ‥あしゅらん‥ι」
「…俺の家のチャイムを、"また"壊す気か?キラ」
再度同じ言葉を繰り返し、じと…っと紫苑の瞳を見据える。
キラはきょとんとした顔でアスランとチャイムボタンとを交互に見やり、へらっと笑った。
「早く出ないアスランが悪いんだよ」
─‥ゴツッ!
「にょあ〜〜〜〜〜!!!!」
2度目の頭突きをお見舞いし、痛む頭を抑えながらアスランは部屋の中に入っていった。
玄関には頭を抑えて痛みに耐えるキラの姿。
「キラ…早く閉めなよ。寒いだろ」
「‥ひ、酷い…アスランっ!痛い‥!」
今度『自業自得』という言葉を徹底的に教えるべきだな…とアスランは深いため息と共にそんなことを思っていた。
部屋に入り、温かいココアを二人分用意するアスラン。しかし、キラはキラで「暑いよ、この部屋〜‥」と言いながら服の中にパタパタと風を送っているから、もしかしたら冷たいものの方が良かったかもしれない。
「で、何しに来たんだ?キラ‥。まさか玄関のチャイムを壊すためだけに来たわけじゃないだろ?」
「別に、僕玄関のチャイム壊す気なんて無いけど??」
何変な事言ってるのさ、という顔で笑うキラ。それならあんなに連打するなと言いたいが、キラの中ではやはり『早く出てこないのが悪い』のだろう。言っても無駄だ。
「あ、そうそう、アスラン!外見た?雪だよ雪っ!!すっごく積もってるんだよ!!ね、遊びに行こ!!公園で雪だるま作ろうよvv」
「断固反対」
外の様子をとても嬉しそうに話し、アスランを誘うキラに、アスランは間髪入れずきっぱりと拒否の言葉を口にした。考えた時間は一瞬も無かっただろう。