オリーブの木の下で
□【特別編】虹の彼方に
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虹の彼方に幸せがあるの
あの空に遠く輝く七色の
虹の彼方で幸せが待っているの
虹の彼方に幸せがあるの
あの向こうに私の明日が
あの向こうに私の夢が
きっと両手を広げて待っているの
〜 オリーブの木の下で《特別編》〜
【虹の彼方に】
《猫目堂 & オリーブの木の下で》
雨が降っていた。
冷たい冬の雨。その寒さに震えながら、小さな橋の下で、一匹の猫がぼんやりと空を見上げている。
雨はなかなか止みそうにない。それに帰り道も分からない。
(どうしてこんなことになっちゃったんだろう?)
猫は何度も考える。
首輪の留め金がはずれてしまったこと。
――壊れていたなんてちっとも知らなかった。
虫を追いかけるのに夢中になってしまったこと。
――気付かないうちに道路に出てしまっていた。
散歩中の犬に吠えられて大急ぎで逃げ出したこと。
――あの犬は見たこともない犬だった。
どこかの家のおじさんに水をかけられたこと。
――「また来たな、この泥棒猫め!」っておじさんは怒鳴っていたけれど、そんなのとんだ濡れ衣だ。
信じられないくらいたくさんの悪い偶然が重なってしまった。