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□てふてふ。
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"幼馴染み"なんて、むず痒い響きは似合わない。
"ご近所さん"もしくは"くされ縁"で十分。
高校は別だったけれど、小さな町だ。
小さな町ほど仲間意識が強い。
集まりや何やらで普通に顔を合わせていた。
そんな渉が……この町を出ていく。
「いいなぁー」
小さい頃から、田舎丸出しのこの町が大嫌いだった。
高校を卒業したら町を出ることが夢だったのに……。
「お前さぁ、せめて働けよ」
「やーだー、めんどい」
とうとう進学もせず、就職もせず……
フリーターという道を選んだ。
いや、バイトも決めていないからしばらくはニートかも……。
こんな状況じゃ、この町を出て行くことも出来ず……
従来通り、この田舎町で過ごしていく。
「いつ行くん?」
「あー、明後日」
渉の奴、連絡もなしにいきなり人ん家に来たかと思えば……
こうやって縁側でひなたぼっこしてる暇はないんじゃない?
「渉も明後日から都会人か……」
「だから何だよ、さっきからその"都会"って……」
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