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□てふてふ。
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私には羽がない。
もしこの空を
自由に飛べたなら
私は間違いなく
住み慣れたこの町を出て行く。
あの蝶のように
舞い飛べ……
てふてふ。
私が育ったのは
山と畑ばかりの小さな田舎町。
コンビニなんてものは一軒もなく、信号機すら滅多に見当たらない。
そんな田舎町で私は育った。
「……裏切り者」
「裏切り者って……」
庭に足を伸ばすように縁側に座って、舌打ちをした。
隣には同じように縁側であぐらをかいている男。
「裏切り者やん、この町出て都会行くくせに」
隣に居るこの男は、春からこの町を出て隣の県の大学に進学する。
「だからー、何で裏切り者なんだよ」
「渉ばっか田舎とおさらばしやがってさ。私もこんな町出て行きたーーい」
「はん、バカかお前……」
渉は、この辺りでは唯一同じ年の男の子だ。
小学校に入る前から、よく山に行ったり川で遊んだり……
自然と共に過ごしていた。
だって他に遊ぶものがなかったから……。
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