メルヘン☆タイム

□カエルの王子様
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その日、リオはお城から少し離れた森を散策していた。

…とはいえ、お城の敷地内で、きちんと遊歩道も整備されており、森の奥の沼も、まるで聖なる泉のように、美しく煌めいている。

そんな沼の傍らで、リオはしゃがみ込んだ。

鏡のような水面に自分の顔が映る。

「この顔じゃなきゃ良かったのかな…」

大きな瞳、長めの睫毛、小振りな口には少し厚めの唇が何も付けていないのに、うっすらピンクに濡れているようだった。

そして、その唇からは長いため息が漏れ、瞳からは大粒の涙が零れ落ちていた。




リオはとある小さな国の王子だった。

豊かな自然に恵まれた……豊かな自然しかない、貧しい国の王子だった。

しかし、国民は誰もがまるで本当の家族のように、国王一族を慕ってくれていて、貧しくても、何の不満もありはしなかった。




なのに、ある日突然、彼がやってきた。

彼は、隣りの国の第2王子だった。

隣国は、地下資源が豊富で、第1王子が亡くなり、その弟が国政に加わってから、軍備も増強され、強引に他国に領土を広げていた。
しかし、豊かな自然しかないこの国は、手に入れる価値さえない…と、放っておかれたままだった。

なのに…



キュッ…とリオは自分の体を抱き締める。
肩が小刻みに震えていた。



その日、国境近くの村で、赤ん坊が産まれたと聞き、リオは出向いていた。

「おめでとう!」

「ありがとうございます。リオ王子。どうか、この子に御祝福を…」

「喜んで……この子が幸せになりますように」

おでこにキスを落とすと、赤ん坊が笑う。

まるで反対に自分が祝福されたように感じ、幸せいっぱいで、リオはその家を後にした。
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