メルヘン☆タイム
□カエルの王子様
1ページ/9ページ
その日、リオはお城から少し離れた森を散策していた。
…とはいえ、お城の敷地内で、きちんと遊歩道も整備されており、森の奥の沼も、まるで聖なる泉のように、美しく煌めいている。
そんな沼の傍らで、リオはしゃがみ込んだ。
鏡のような水面に自分の顔が映る。
「この顔じゃなきゃ良かったのかな…」
大きな瞳、長めの睫毛、小振りな口には少し厚めの唇が何も付けていないのに、うっすらピンクに濡れているようだった。
そして、その唇からは長いため息が漏れ、瞳からは大粒の涙が零れ落ちていた。
リオはとある小さな国の王子だった。
豊かな自然に恵まれた……豊かな自然しかない、貧しい国の王子だった。
しかし、国民は誰もがまるで本当の家族のように、国王一族を慕ってくれていて、貧しくても、何の不満もありはしなかった。
なのに、ある日突然、彼がやってきた。
彼は、隣りの国の第2王子だった。
隣国は、地下資源が豊富で、第1王子が亡くなり、その弟が国政に加わってから、軍備も増強され、強引に他国に領土を広げていた。
しかし、豊かな自然しかないこの国は、手に入れる価値さえない…と、放っておかれたままだった。
なのに…
キュッ…とリオは自分の体を抱き締める。
肩が小刻みに震えていた。
その日、国境近くの村で、赤ん坊が産まれたと聞き、リオは出向いていた。
「おめでとう!」
「ありがとうございます。リオ王子。どうか、この子に御祝福を…」
「喜んで……この子が幸せになりますように」
おでこにキスを落とすと、赤ん坊が笑う。
まるで反対に自分が祝福されたように感じ、幸せいっぱいで、リオはその家を後にした。