メルヘン☆タイム

□お菓子の家
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ある所に貧しいながらも仲の良い親子がいた。
父親はおっとりしていて少々世間知らず。
しっかり者の17歳の長男、樹(いつき)はサラサラの茶髪と栗色の瞳を持つスラリと背の高い美人系。
まだまだ甘えん坊の12歳の次男、陸(りく)は兄と同色の髪と瞳を持つものの背丈が低めで愛らしい小動物系。
母親は早くに亡くなっていたが、親子3人楽しく過ごしていた。
そんなある日……突然現れた女。
そして、父親の前で貞淑な女性を演じていた女の本性を樹が見破るやいなや、女は、地形の複雑さゆえに死の森と呼ばれているこの森へ樹と陸を置き去りにしたのだ。
「樹、お腹すいた…」
忌まわしい出来事を回想していた樹は陸の声に我に返る。
日が沈みかけ、辺りの闇が濃さを増していた。
自分の不甲斐なさが腹立たしい。
もっと自分がしっかりしていればあんな女追い出してやれたのに…陸をこんな目に合わせずにすんだのに…。
ちらりと陸の足に目をやると、草木による擦り傷が幾本もの赤い筋になっている。
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