メルヘン☆タイム

□オマケのシンデレラ
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「ラウル…ひ、酷いです…俺…」
「皆がいるのに馬車の中でイっちゃったの恥ずかしかった?」
泣きそうな…というか、泣きながら頷くカイとは対照的に、クスクスと笑うラウルは実に楽しげだ。
「泣かないの…可愛くてもっと苛めたくなっちゃう」
「ラウルっ!」
カイが唇を尖らせてそっぽを向く。
ささやかながらも不機嫌さを表すカイがラウルはますます愛おしい。
初めてカイを見つけた時、彼は市場のど真ん中で何の抵抗を示す事もなく、若い女性に詰られていた。
三年後、多少強引に引っ張ってやると、恥ずかしがりながらもとても従順にラウルに懐き、自分の意志を持つ事を覚えた。
そして更に三年がたち……
ほんの少しではあるけれど、カイは自己主張ができるようになった。
ラウルにはそれが嬉しい。
カイが成長していく様が、とても嬉しい。
九十九はそれを調教だと言う。
力ずくで従わせている気はないけれど、その表現が自分たちの関係を的確に表していると、ラウルは思っている。
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