痴漢日記〜学生編〜

□No.4椿 忍
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〈2-3日目・大地&風馬〉
「なぁ…本当に大丈夫かよ…」

「でも、龍さんが言ったんだもん…しなきゃダメでしょ?」

参観日の翌日、午後2時。大地は大きく、ため息をついた。
土曜日の為学校はお休み。大地の所属している剣道部も、今日は午前中で練習が終わっていた。
普段なら、ゲームで盛り上がったり、ゴロゴロしたり、街に遊びに出たりする所だが、今日は2人共そんな気分にはなれなかった。

その訳は、昨日風馬が耳打ちされた内容に他ならない。


『お前達2人で、忍ちゃんを俺のお友達にしてくれないか?』

あの時、龍は強く命令したりはしなかった。
けれど、拒否するなんて赦されないと、2人には分かっていた。

と、思案に耽る2人の…風馬の携帯電話に、メールが届いた。

「……龍さんだ!…えぇと…忍ちゃんは電車通勤、いつも6時半過ぎに三山に着く電車に乗っている…だって」

「…6時半過ぎかぁー」

風馬が声に出してメール内容を読み上げると、大地が再び大きなため息をついた。
7時から始まる朝練の為、剣道場の鍵を開けているんだからそんなものだろう…けれど、今より早い電車に乗り込むのは正直辛い。

「だいたい俺たちが痴漢…って、無理だっつーの」

龍の手練手管に快感を与えられ、抜け出せない状態ではあるが、自分たちが他の誰かに同じように出来る訳がない。

「それはそうだけど…でも、僕、ちょっと面白そうとも思うんだよね」

愚痴る大地に、風馬はイタズラっぽく笑って見せた。

「………風馬」

昔は、ちょっと触られたら泣きそうになっていて、それを守っていたのは自分なのに…龍に手を出されてからというもの、性欲に素直に開放的になってしまった双子の弟に、大地はちょっと哀しくなってしまう。

「ね、だから大地も頑張ろっ♪」

「風馬、順応力在り過ぎ……あぁ…もうっ…仕方ねぇ、どうせやらなきゃいけねぇんだし…よし、作戦会議だ!」

いつの間にかノリノリな風馬に引き摺られるようにして、やっと大地も腹を括る。



そして、忍を陥れるべく、大地と風馬は休日を目一杯使い、計画を立て始めたのだった。
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