メルヘン☆タイム

□お菓子の家
2ページ/28ページ

「………悪い」
ぎゅっと抱きしめてやると、陸も樹の背中に腕をまわした。
「ごめんね…樹、僕足手まといだね…」樹の胸元で陸が呟く。
「そんな事ない…陸はすごく頑張ってる」
実際、陸は弱音もあまり吐かずに歩いてきていた。
先ほどの「おなかすいた」が唯一の泣き言とも言えるぐらいに…。
その時、強く抱き合いながら絶望を感じ始めていた2人の元に甘い香が届いた。
「なんだ…これ」
「あっ、樹、あっち」
陸の指差す方、茂みの向こうにほのかな灯りが見える。
「行こう」
「うんっ!!」
希望を胸に2人は疲れきった体を灯りの方へ向けた。


「すごい…樹、これお菓子だよ。お菓子の家だ…」
「あぁ…」
ビスケットの外壁に生クリームでデコレーション、そして至る所にキャンディや果物が鮮やかに飾りつけられている。
その甘い匂いに誘われて、2人は家の中に入って行った。
床と家具は木製だったけれど、その他の内装はやはりお菓子で出来ていた。
しかもご丁寧に机の上にはティーセットまである。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ