異世界の扉

□Pretty Boy
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ほんと、一人でどっか行ったって言われた時はヒヤッとしたけど。

あたしの為にって行動してくれたのが嬉しかった。

自分のお小遣いで買ったんだよ!って得意げに言ったこの子をギュッて抱き締めるくらいに。

「心配させないで!」って叱りはしたけど、「ありがとう。」って言って大福を食べた。

今までで、一番美味しかった。

優毅には、金銭感覚をきちんと持って欲しくてお小遣い制にしてる。

誕生日とか以外は無闇に買い与えないし。

欲しいものがあったら、自分のお小遣いで買いなさいって言ってある。

っていっても、月に30万っていう大金が月にこの子に渡されるんだけど。

「多い!」って言ったら、司に「これでも少ないくらいだ!」って反論された(苦笑)

ちょっと、感覚がずれないか心配だったけど杞憂だった。
優毅はきちんとあたしの言いつけをまもってる。

無駄遣いはしないし、半分は貯金してる。

何に使うの?って聞いたら、「パパとママの結婚記念日に世界一周旅行プレゼントするの!」だって。

自分の為じゃなくて、あたし達の為に貯金してくれてるのが嬉しかった。

世界一周なんて、その気になればいつでもいける。

でも、優毅の気持ちが嬉しかった。

その時、お義母さまもいた。

そしたら、お義母様に優毅こういったの。

「その時は、パパとママにお休みあげて。お婆様。その分、僕が幼稚園お休みしてお婆様手伝うから。」って。

お義母様、微笑んで「わかったわ。」って言ってくれた。

「いい子にそだってるわね。」ってほめられちゃった。
「あっ。今日から、まとまって休暇取ったから。」
「そうなの?どれくらい?」
「一ヶ月。優毅の幼稚舎の長期休暇に合わせた。」
「じゃあ、お休みの間ずっと一緒に居られるの?パパ?」
「あぁ。」
「やったぁ!いっぱい遊んでね。」
「いいぞ。」
「あっ、でも。今日と明日はいいや。」
「あ?なんで。」
「だって、パパずっとお仕事で疲れてるでしょ?だから、ゆっくり休んで。」
「いいのか?今からじゃなくて。」
「うん。」
「そっか。ありがとう。じゃあ、そうさせてもらう。」
「うんっ。」

親思いな優毅に司はメロメロだ。

まぁ、あたしもだけど。

「あっ、そういやさっき総二郎から電話来た。」
「西門さんから?何て?」
「久しぶりに集まらないかって。で、今から皆で行っても良いかって言っててよ。つくしに聞いてから、電話するって言っといた。」
「いいよ。なら、何か作らなきゃね。」

皆で集まるのは久しぶりだ。

「総ちゃん達来るの?」
「あぁ。優毅に会いたがってたぞ。」
「やった!いっぱい遊んで貰おうっと。」
「そうしろそうしろ。」

司が電話してる間も、優毅はソワソワしてた。

よっぽど、嬉しいみたい。

「総二郎が、それぞれ持ってくから料理作らなくてもいいってよ。」
「そう?」
「あっ、でも“お鍋”だけは作ってくれって。」
「なべ?」
「おう。この前、類と滋が来た時作ったんだって?美味しかったから、また食べてたいってよ。」
「くすっ。そっか。わかった。つくるね。」

優毅が生まれてから、料理だけは自分でしたくて料理人は特別な時にしか雇わないようにしてる。

だから、一般家庭の“お袋の味”がうちの料理になってる。

F4が来てもそれは一緒。

最初は、戸惑ってたけどいまは「美味しい。」って言って食べてってくれてる。

催促がくるくらい。
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