04

□聖夜
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特に計画もなくウィンドウショッピングを楽しみ、リーズナブルなファミリーレストランに入った。キラは高校卒業したらもっといい店に連れて行ってあげると悔しそうに呟いたが、ラクスはここで充分である。彼とならどこだっていいのだ。


「キラ…?」

「んー?」

「…どうしてそんなに見つめてきますの?」


料理を食べる最中、ラクスは熱い視線に緊張していた。キラもまだ途中だというのに、頬杖をつき至極楽しそうに見つめくるのだ。


「ラクスが可愛いなと思って」

「へ?」

「やっぱり女の子なんだなって。食べる仕草とか表情とか可愛いんだもん。ラクスはその姿が一番似合ってるよね」

「…っ、」


今に始まった事ではないが、本当に彼は恥ずかしい台詞を自然に言ってくれる。いつだってその言葉にラクスは赤面せずにはいられない。


「そうやって恥ずかしがるところも可愛いよ?」

「もうっからかい過ぎですわ…っ」


とうとうラクスは我慢出来ず、火照った体を覚ますため席を立ちお手洗いに逃げ込んだ。ふぅと一息つく鏡の中の自身の頬は隠しようのない程、赤く染まっていた。濡れた手で包み込むと余計熱い。キラは学園内でもお構いないなしにラクスをからかう事がある。その度にこんなに反応していては危険なのに。


「耐性を身に付けないといけませんわね…」


一人ごちるラクスだったが、キラに惚れ込んでいるのだから、これがなかなか難しい。いつになる事やら、と苦笑いを浮かべた。



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