04
□聖夜
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「あら?」
ラクスが席に戻ると皿の前に小さな包みが置いてあった。
「僕からのクリスマスプレゼント」
「えっ。開けていいですか?」
「うん」
ワクワクしながら、そっとリボンを解くとピンク色の四角い箱が出てきた。かぽっと開けると厚いクッションの上に小さなハート型のネックレスが光りを浴び七色の輝きを放っていた。
「可愛い、です」
「女の子にプレゼント…なんて初めてだったからすっごい悩んだんだけどね」
照れくさそうに話すキラ。ラクスは感動する。シンや父親から数え切れないプレゼントを貰ってきたが、こんなにも胸が熱くなったのは初めてだった。
「キラ!ありがとうございます。ずっと大切にしますわ」
「うん…。あ、付けてあげる」
背後に回ったキラが貸してと手を差し出す。ラクスは髪を持ち上げ、付けてくれるのを待った。
ああ、またドキドキしてしまう。
「はい。ラクス、見せて?」
控え目だがはっきりとした存在感を放つそれは、ラクスの胸元で一層煌めいて見えた。これにして良かったと心から思う。
「似合ってる」
キラはラクスの長い髪を指先で弄りながらうっとりと呟く。普段は隠されているのが本当に勿体無い。仕方ない事だが、いつか思う存分自然に晒してあげたい。
それが密かな彼の夢だった。
「あ…ありがとうございます。キラもそのマフラー似合って良かったです」
そしてラクスからのプレゼントは既にキラに渡されていた。ずっと彼の首で暖となっていたチャコールグレーの上品なマフラー。ラクスが今日のためにせっせと編んでいたものである。
本当は内緒にしていたかったのに早々にキラに見つかり、彼の前で編むという恥ずかしい工程になってしまった。まあ、それを傍らで見守るキラの表情はとろけきり心底嬉しそうだったし、良しとしよう。
「あとで一緒に巻いてみる?」
「まあっ、恥ずかしいこと言わないで下さいな。それにそんなに長くありませんわ」
「ぴったりくっつけばいけるんじゃない?ん〜じゃあ帰ったら試してみようね」
彼は突拍子もない事を平気で提案してくるから本当に心臓が休まる時がない。今日は特に――これもクリスマスの魔術か。
「…そういえばサッカー部のパーティーはどうなっているでしょうか」
「むっ、交わしたな。はぁ、そうだね、盛り上がってるんじゃない?別に僕たちがいなくなって問題ないよ」
キラは去年のクリスマスパーティーを思い出す。教師のムウはこれ見よがしにビールを仰ぐし、もちろん生徒はノンアルコールだ。様々なゲームをして男だらけのパーティーはそれなりに楽しかった。