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□Holy Night
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ちらちらと煌めく白いものが舞う夜空。
街は華やかなイルミネーションで光り輝き、賑やかなムードに包まれている。中心には大きなツリーが設置され道行く人々は自然と足を止め、見上げていた。
その周辺の、とある高級ホテルの一室。ロイヤルスイートには、弱冠21歳にしてここプラント最高評議会議長を務めているラクス・クラインの姿があった。
つい一時間前には彼女もあの中にいた。大好きな恋人と手を繋ぎ、共に雪の上を歩いていたのだ。
ラクスは窓から外を見下ろし、ただの少女として過ごした幸せな時間を思い出していた。
そして今の格好は、湿った長い髪にバスローブ。微かに薔薇の香りを漂わす彼女は風呂上がりであった。
「ラクス」
「キラ」
「何見てるの?」
不意に背後からラクスの華奢な身体を抱き締めたのは、彼女の恋人であるキラ・ヤマト。ザフトで隊長の証である白服を纏い、ラクスを心身共に支えるパートナー。
隊長と言っても実際自分の隊は持っておらず、議長――ラクスを護る俗に言う親衛隊のような役職に就いているのだ。