04
□ある夕方の風景
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「お〜い、アスラーンっ!」
「カガリ…?」
俺、アスランはいつものうるさいサークル勧誘を振り切り大学を後にした。
久しぶりに授業が早く終わったんだ。家に帰って完成間近のマイクロユニットの続きを作りたい。
そう考えながら駅に向かう俺の背中に明るい声がかかった。
振り返ると金髪の髪を揺らして走って来るカガリの姿。彼女は俺より一つ下でキラと同じクラスの――数少ない女友達、だ。
友達。そう、友達のはずなのだがカガリが傍にいると他の人では感じた事のない感覚が起こるんだ。
―――…ドキドキする。
「今帰りか?」
「ああ、カガリも?」
「おう!なぁなぁ、この後暇か?」
「え?まあ、一応…」
特に予定はないから、暇には変わりない。
とりあえず、カガリが何を言おうしているのか気になるし黙っておく事にした。
「そうか!なら、ちょっと付き合ってくれ」
「つ、付き…ぇえ!?」
「何変な声あげてんだよ?」
思わず後ずさりしてしまった。
いやいや、しかし…ええ!?
既に俺はカガリをまともに見る事が出来なくなっていた。
こ、これは告白なのだろうか…?
でも、好きとは言われていないし…。
というか、俺はカガリが好きなのか?
普段つきまとってくる彼女たちとはやはり違う。
――…迷惑なんて、微塵も思っていない。
「もう、どうしたんだよ?早く行くぞっ!」
「わわ、カガリ!?」
俺の腕をカガリが掴んだ。
太陽に焼け俺より肌の色は濃いが彼女の指や袖から覗く手首は細く、それは確かに女の子のものだった。
だがしかし…。
「か、カガリ?あの、痛いんだが…」
「ああ!?早くしろってば!」
流石筋トレを趣味にしているだけあって、その力はかなり強い。
結局俺はそれ以上何も言えずにただただ引きずられて行くのだった。