睦月様の作品(フェイソフィ)

□護りたいヒト、癒したいヒト
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[護りたいヒト、癒したいヒト]



ねぇ、護ってくれなくても、良いんだよ?


私、そんなに弱くないんだから…




貴方が、私をかばって傷付くのを。



見る位なら。






「―何だって?」

フェイトは、瞳を見開いて聞き返した。
しかも、何だか切なそうに私を見ながら。

ごめんね、そんなカオ、させたくないのに…

「もう、護ってくれなくていいよって言ったの。
私も、十分強くなったんだから…」

フェイトを見れなくて、私は背中を向けてそう言った。

「…本気で言ってるのか」

フェイトの声は震えていて。
怖い。
けど、イヤなの。

「……本気だよ」

貴方の隣で歩いて生きたいから。
私は、強くならなくちゃいけないの。
護られてばっかりじゃ、ダメだよ。

「ね、フェイ…」

笑顔を作って、振り返ろうとしたら。
腕を、痛いくらいに掴まれて。

フェイトの瞳は、怒りに染まってた。

「…痛いよ、フェイト…」
「何で、そんな事言うんだよ…っ」
「だって…」

口を開こうと顔を上げると、いきなり部屋の壁に、体を押し付けられた。

「フェイトっ…」
「何、考えてるんだよっ!!
護ってくれなくて良い、だなんて…!!」

掴むフェイトの手が、強くなる。
痛いのは、腕じゃない。

私の、心。

「僕には、護らせてさえくれないって言うのかよ!?」
「…ごめんなさい」

瞳をちゃんと見る勇気が無くて俯いたら、フェイトの顔が肩に乗って。

「頼むから…、お願いだからっ、そんな事言わないでくれよ…」
「…弱いままじゃ、ダメだよ」

呟くと、フェイトは私を見る。
それでも、視線をあわせられなくて。

私は、俯いたまま。

「フェイトが、痛い想いするの…イヤなの。
そんなの見る位なら、もう…護ってもらわなくて、いいっ…」

言葉を紡ぎ終えると、掴まれた腕はゆっくりと解放され。

…分かってくれたの?

そう思った矢先に。
抱き締められた。

「…フェイト」
「僕だって、お前が傷付くのを見たくないんだよ…」
「…!」
「だから、護ってるんじゃないか…っ!
使命感とか、そんなんじゃなくて、ソフィアだから護りたいんだよっ!!」

彼の抱き締めた腕は、私を締め付けていく。

「不安なんだよ、またいつ…お前がいなくなるかなんて考えたら…っ」

私が、貴方から離れられないように。

貴方も、私から離れられないの?


いいのかな?
私、このままで、いいのかな?

恐る恐る、背中に手を回すと。
フェイトは、愛しそうに抱き締め返してくれて。

「…ソフィアの存在を…ここに居るって、確かめたくて護ってるんだ」
「…うん」
「だから、護らせて…」

言葉を聞いて、フェイトの胸に顔を埋めて。
自然に涙が零れた。

「うんっ…」
「…ばかだな。
ほら、泣くなって」

抱く腕を緩めて、フェイトは口付けて、私の涙を拭う。

「ひっく…、でも…フェイトが怪我するの、やっぱり見たくないよっ…」
「……だったら」

フェイトは私の手を引き、頬に擦り寄せて。

「ソフィアの呪文で癒して?」

微笑んで。

私も微笑み返して。


「…愛情いっぱい詰め込んで、癒してあげるね」


だから、隣に、ずっと。

Fin

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