睦月様の作品(フェイソフィ)
□本当の気持ち
2ページ/23ページ
「絶対にお断りしますっ!!!!」
広い―いや、無駄に広過ぎる豪華な室内に、少女の声が響き渡り、木霊する。
その声に、その国の主は困った様に、少女を宥めた。
「ソフィア…落ち着いて」
しかしそれも虚しく、少女は一層顔を赤らめて叫ぶ。
「知りませんっ!
…失礼させて頂きます!!」
踵を返し、音を立てずに少女は早足に部屋を出ていった。
パタン、とドアを閉めると。
「…ソフィア姫、少々お声が」
蒼い髪の青年が、少女に話し掛ける。
歳の頃は二十歳前後、出立ちは騎士そのもので。
ソフィア姫と呼ばれた少女は少しだけ膨れながら。
「フェイト様まで、私に強要されるおつもりですか?」
「いえ…その様な事は」
出過ぎました、と付け加えると、ソフィアの顔は悲しみに染まり。
「お願い…私は…」
切なく彼を見上げるソフィアに、フェイトは目を逸らし、手を差し伸べる。
「…姫、お部屋までご一緒致します。
戻りましょう」
「………はい」
差し伸べられた手を取り、二人は歩き出した。
手を引かれながら、ソフィアは想う。
『姫』、『様』だなんて…昔は言ってなかったのに。
何も考えずに、ずっと隣に居られたのに…。
私が想いを伝えようとするといつも。
貴方は誤魔化してしまうの…。