睦月様の作品(フェイソフィ)

□本当の気持ち
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「絶対にお断りしますっ!!!!」

広い―いや、無駄に広過ぎる豪華な室内に、少女の声が響き渡り、木霊する。
その声に、その国の主は困った様に、少女を宥めた。

「ソフィア…落ち着いて」

しかしそれも虚しく、少女は一層顔を赤らめて叫ぶ。

「知りませんっ!
…失礼させて頂きます!!」

踵を返し、音を立てずに少女は早足に部屋を出ていった。
パタン、とドアを閉めると。

「…ソフィア姫、少々お声が」

蒼い髪の青年が、少女に話し掛ける。
歳の頃は二十歳前後、出立ちは騎士そのもので。
ソフィア姫と呼ばれた少女は少しだけ膨れながら。

「フェイト様まで、私に強要されるおつもりですか?」
「いえ…その様な事は」

出過ぎました、と付け加えると、ソフィアの顔は悲しみに染まり。

「お願い…私は…」

切なく彼を見上げるソフィアに、フェイトは目を逸らし、手を差し伸べる。

「…姫、お部屋までご一緒致します。
戻りましょう」
「………はい」

差し伸べられた手を取り、二人は歩き出した。
手を引かれながら、ソフィアは想う。


『姫』、『様』だなんて…昔は言ってなかったのに。
何も考えずに、ずっと隣に居られたのに…。

私が想いを伝えようとするといつも。
貴方は誤魔化してしまうの…。
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