Four Heroes

□Crystal of moonlight
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店主「だから、うちは冒険業斡旋屋だ!!」
 昼、冒険宿屋の1階に降りると、二人の男が言い争っている。
 一人はこの店の店主、ごつい体躯に黒鬚のドワーフ。
 もう一人は初めて見る男、何処かの執事か、落ち着いた白鬚の人間。
 正確には見下ろされているドワーフの親父が背伸びしてガナっているだけであった。
店主「そんな仕事、僧侶ギルドにでも頼めばいいだろ!!」
白鬚「僧侶ギルドにここを紹介されたのですが…」
店主「…」
ソリダスター(以下ソ)「どうか、したのですか?」
 黒髪の僧侶、ソリダスターが礼をしながら二人に近づく。
店主「あ、騒がしてるかい?
 注文か?」
 ドワーフは軽い笑みを浮かべながらこちらを向く。
ソ「いえ、僧侶ギルドの名前が挙がったものですから」
店主「ああ。いや、この御仁が変な依頼を持ってきやがって」
白鬚「しかし、こちらは大変困っているのです」
 それを訴えるかのように軽く手を広げる執事。
ソ「変な依頼?」
店主「幽霊退治だとよ」
ソ「ほぉ」
 ソリダスターが笑顔になった。
店主「いいか、このご時世にモンスター退治でなく、幽霊だぞ?
 そんなもん、僧侶どもにお払いでも受けてりゃいいだろ!?」
ソ「引き受けましょう」
店主「あん?」
 ソリダスターが執事に向き直る。
ソ「私、僧侶・ソリダスターがその幽霊騒動に参加させていただきます。
 よろしいですか?」
白鬚「はい。よろしくお願いします。
 奥様も大変喜びます」
 執事が礼する。ソリダスターも礼を返す。
白鬚「それでは、これからすぐ、来ていただけますか?」
ソ「はい」
白鬚「馬車を表に回させます」
 そう言うと執事はもう一度お辞儀をして、宿屋を後にした。
店主「いいのかい?こんな変な事件を安請合いして」
 ドワーフがつまらなそうに肩肘を突いて言う。
ソ「変な事件だからこそ、私はこの目で見たいのですよ」
 そう笑顔を作ると、ソリダスターは一緒に降りてきた仲間、ヒエンに声をかけた。
ソ「一緒に行きませんか?」
ヒエン(以下ヒ)「何で?」
 あからさまに嫌な顔をするヒエン。
ソ「先ほど彼は"奥様"と言ってました。
 つまり、彼の主は女性であると考えられます」
ヒ「ふむ…」
 扉が再び開き、先ほどの執事が現れた。
白鬚「ソリダスター様、よろしいでしょうか?」
 するとヒエンが彼に近づく。
ヒ「なあ、おっさん。その奥様って、美人?」
白鬚「は?はい、奥様はお美しくございますが?」
ヒ「はじめまして、僕はソリダスターの友人・ヒエンと言います」
 執事の手を取って無理やり握手をする。
ヒ「彼と一緒に、事件解決に全力を捧げます」
白鬚「あ、ありがとうございます」
 執事は困ったように頭を下げる。
ソ「さて、行きますか?」
 ソリダスターの声に執事はうなずき、前に止められている馬車に二人を導いた。
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