薔薇物語
□アリスいじり。
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「火村、火〜村」
クッションを背もたれに、彼は二本目のキャメルを灰に変え、俺に呼ばれてそのまま灰皿へ。
いつでもいいぞ、という風に、両腕を軽く上にあげる。
俺は迷わず、彼、火村の胸にダイブした。
そのままクルンと向きを変え、背中を預る。
へへへ、と満足に笑うと、そんなに笑いたいか、と横腹をくすぐられた。
「わー!やめ、ひっ、ひっ、ひっ、火村っ!」
涙目になるほど遊ばれ、さすがに降参の声をあげた俺に、火村はしてやったり、と笑顔。
「き、君ぃ〜、覚えときや」
そんな俺の抗議に、「あぁ、覚えておくよ」と耳打ち。
ゆっくり、
「アリスの怒った顔も」
ゆっくりと、
「泣いた顔も」
一言、一言、
「笑った顔も、全部」
染み込むような声で囁き、
「覚えておくよ」
ここで、熱くなっていた頬に、唇がおとされる。
それに目が白黒上下するくらい、蒸気した俺を見て。
「そうだ」
「アリスの困った顔は一番好きだぜ」
今度こそ、唇におとされた。
このフェイントはひきょうやー!!
終。