イロハ

□手に手をとって
1ページ/1ページ



ネウロ、ネウロ、ネウロ、ネウロ、ネウロ…

何回あの助手の名前を口にすれば気が済むのだろう。あの人間とは思えない、暴力的で性格が悪く、常に人を見下したような態度の、自分勝手な…(挙げればキリがないのでやめておこう)

バイト中に駆け込んで来た俺の上司は口を閉じる事を知らないかのようにさっきから話し続けだ。助手に首を絞められただの、関節を逆にされそうになっただの…まあ要は愚痴だ。
困った事に客が来たら黙って迷惑にならないようにしているので追い出せない。そしてもう一つ困った事にもうすぐバイトの終わる時間だ。

「吾代さん聞いてる?!」
「あーはいはい」

憎いだとか殺されるだとか、そんな事言ってはいるけどなんだかんだ言ってどちらにもその気はないクセに。もしもアイツが本気だったらもうとっくに死んでる。
どうやら上司の愚痴を聞くのも雑用の仕事らしい。

「わかったわかった!」
「えー!まだ全部話してないのに!」
「わかったって。オレもうバイト終わるからどっか飯連れてってやるから」
「やったー!」

財布の中身が全部なくなるだろうけど、機嫌直してやるよ。それも仕事ってんならしょうがない。



-

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ