**etc**
□e異世界演舞
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いつもと同じ日常に見えて
そこはどこかいつもとは違っていた。
そんな世界に迷い込んだら楽しまなきゃ損だってばよ。
「なぁメンマも来るだろ?」
「……へ?…あ…どこへ?」
そう馴染みの無い名前をニャンニャンと猫みたいに手で顔を擦るキバに言われて慌てて返事を返す。
オレってばこの世界ではメンマって名前らしい…
みんなの性格がおかしい事はなんとなくわかってサクラちゃんと別れて里をフラフラ歩いていると、犬じゃなくて猫好きらしいキバと、頭悪そうにニヘラ〜ッと眉間のシワもなく楽しそうに笑うシカマルに捕まってしまった。
なるべく関わらない様にって思ってたのにこれだもんな〜…人気者は辛いってばよ。
『どこってこんな時間に行くとこっつったらいつものとこだろ〜?』
いつもより少し高めの軽い声で言いながらシカマルはオレの手をグイグイと引いてくる。
……ぅう〜なんか可愛いってばよ……
このシカマルはきっとオレの知ってるオレの好きなシカマルじゃない…でも姿形は殆ど同じで違うのは頭の中身がアホ…ってか幼児っぽい?
「…こ、こんな時間に出歩いてみんな怒られないってば?」
「何を今更…いつもの事だろ?ネジ待ってるから急ごうぜ」
キバが猫背で歩き出すのに続いて、シカマルはオレの腕に手を絡めてオレの方にニコニコ笑顔を振りまき引っ張りながらキバの後を追う。
「…ちょ……ネジのところに何があるんだってばよ!?」
『はぁ〜?スッゲー秘密の部屋があるじゃね〜か?…え〜っと何でだっけ?』
「…ヒナタが嫌がったから離れに部屋造って貰ったんじゃなかったか確か」
……そこに何でオレが行かないといけないんだってばよ!?
あ〜…でもこれ以上聞いたらなんだか疑われそうだし何にも問題起こさないってサクラちゃんと約束したし……
『……?な〜んか今日のメンマ変じゃねぇ?腹でも痛いのか?』
「ぅへ!?あ…べ、別に何も怪しくないってばよ何にも隠してないってばよ!?」
シカマルに見上げられながら腕をクイクイ引かれ、そのいつものシカマルなら絶対しない可愛い動作に早くも理性的なものがヤバめです。
『…ふ〜ん。じゃあいいや。早く行こ〜ぜ〜』
…上手くごまかせたみたいだってばよ。
シカマルはオレのどう見ても怪しい態度に気付く事なくオレを引きずりながら駆け足で前を歩くキバを追い抜いていった。