□アヤマチ
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「……っ」

心臓がバクバクと激しい鼓動をたてる

チラチラと周囲を見回して人が居ない事を確認する

「…ラクス…大丈夫…」

「は、はい…」

ルナマリアに頷き棚に並んだ消しゴムを掴み、そっと鞄へとしまおうとすると腕を捕まれ手にしていた消しゴムが床に落ちる

「っ!?」

「君達、それ犯罪って解ってる?」

「…あ…」

「未遂っぽいから見逃してやるけどよ…」

ラクスの腕を掴む茶髪の青年とルナマリアの腕を掴む黒髪の少年に青ざめる

「あ…き、きゃあぁッ!」

「た、助けて!!」

ラクスとルナマリアの悲鳴に二人は目を見開いて驚き
何事かと野次馬が集まる

「こ、この人達が急に!」

「は!?な、何を!?」

腕を掴んだまま叫ぶ二人に大袈裟な程に肩を震わせればヒソヒソと好奇の視線
更に奥からバタバタと駆け寄る警備員

二人が取り押さえられると混乱に紛れるようにラクスとルナマリアは姿を消した


「は、はぁ…なんとか逃げれましたわね…」

「うん…危なかったぁ…
やっぱりこの遊びは危なすぎね…」

「そうですわね…今日でおしまいですわね」

「学校と一緒に卒業ね〜」

クスクスと笑いながら話す二人には罪悪感が全く無かった

万引きもただの遊び、逃げる為に誰かを犠牲にするのも仕方ない事、と考えていたからだ


そして月日が流れた頃

危ない遊びも止め、すっかり忘れた頃
たまたま街で買い物をしているとしつこいナンパに絡まれうんざりしていた時に二人組の男性に助けられた

「あ、あの…ありがとうございました
しつこくて困ってましたの」

「本当に助かりました
初対面なのに優しいですね!」

「はっ…初対面、ね…マジかよ…」

「…まさか、憶えてないとは、ね…」

「え?」

お礼を言えば溜め息混じりに冷たい視線を向けられ驚く

そのまま腕を捕まれ引き摺られるように歩き出す

何がなんだか解らないまま抵抗してもビクともしない相手にラクスもルナマリアも恐怖を感じ微かに青ざめる


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