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□カナシムココロ
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老舗の呉服店には二人の看板娘が居た
おしとやかな姉のラクス
元気な妹のルナマリア
この二人を目当てに訪れる男性客も多い程
見目麗しい姉妹は巷でも有名だった
「ルナ、新しい反物のデザインが来ましたわよ？
次の仕入れの選びましょう？」
「わ、もうそんな時期？
えっと…出来上がるのが夏頃だから…
浴衣地メインで今年はレトロモダンな柄なんてどう？」
贔屓にしているデザイナーの夏物の新作を二人で確認しながら
最近任されるようになった若い女性向けの着物の反物をどれを入荷しようかと悩む
「レトロモダンな浴衣の他に
夏着物にも使える絽の着物で萩に星等の
明るくて涼しげなデザインというのも可愛いですわ」
「あ、襦絆の生地も新しいデザイン出来たのね」
キャッキャと盛り上がり選んでいると来客を知らせる鈴が鳴り
父が応対する声が聞こえ慌てて声を潜める
「は？え…あ…し、少々お待ちください…
ラクス！ルナマリア！ちょっと来なさい！」
父の何処か焦った声に何かと顔を見合わせつつ
急いで店舗へと顔を出す
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