□海の鼓動
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世は大航海時代

海には海賊が溢れ、海軍との衝突が新聞に載らない日は無かった


「ん〜…いいお天気…
今日はお洗濯日和ですわね」

船の甲板に立ち手を翳して陽射しを和らげながら
風に揺れる髪を抑える


雲一つ無い、晴れ渡る空と青い海

一面青の世界にもようやく慣れた


少女の名はラクス・クライン

とある湊町の酒場で働いていた所を海賊に襲われ海の上へと拐われ、辱しめを受ける寸前
その船が別の海賊に襲われ、乗組員が全滅

船室の隅で引き裂かれた服ごと身体を抱き締め、全てが終わるのを待っていた時に
船を襲った海賊が目の前に現れた

ラクスの姿に目を見開き、自分の上着を羽織らせ、そっと抱き上げ自分の船へと移動し
女性乗組員に無事を確認させたのがその海賊団の船長だったと後から知った

町まで送ると言われたが、既に山賊の手により家族の居ない自分には故郷は辛すぎる、と乗組員として同乗させて欲しいと頼み込んだ

最後まで反対していた船長から料理や家事の腕を認められ渋々許可が降りたが
戦闘の際には邪魔にならない位置に隠れるという約束を取り付けられた



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