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□stray sheep
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『いやあぁ!!
助けて、誰か…たす、け…………』
「―――っ!!」
「お姉ちゃん!
お姉ちゃん、しっかりして!」
深夜、皆が寝静まった頃
声に成らない悲鳴をあげ痙攣する一人の女性を揺り起こす
見開かれ虚空を見つめるブルーは濁り、大粒の滴が溢れ出す
「大丈夫、大丈夫だから…」
虚ろな目の女性を抱き締め、優しく呪文のように繰り返せば
フッと力が抜けまた眠りへと落ちて行く
毎晩、交互に悪夢に魘され
その度に互いが支え合う
傷を舐め合わないと二人は生きていけない程の地獄を数年前に味わった
それが未だに脳内にこびりつき悪夢という形で見せて来る
「……どうして…私とお姉ちゃんがこんな目に…」
ポツリと呟く少女の目からは哀しみと憎しみの入り混じった涙が溢れた
二人は小さな町で有名な美人姉妹で
カフェのウェイトレスをしていた
二人見たさに店はいつも男性客が詰め掛け、
更に二人の性格の良さから女性からの支持もあり
店は老若男女問わず、姉妹目当ての客で常に溢れ返っていた
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