□愛し方
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ヒラヒラと布を翻しながら甘い花の香りを振り撒き踊る少女

風に桜色の髪をなびかせ笛の音に合わせて様々な曲を紡ぎだす少女


二人は同じ移動サーカスの一座に属する踊り子と歌姫だった

町を転々と渡り歩き決まった額を稼いだら即日撤収
そして翌日には別の町で公演を開く

ちょっとした国の有名人で誰もが明日こそ我が町に、と期待を胸に過ごしていた

そんな一座の話題は町人だけでなく貴族の耳にも入った

そして、その一座が正に今日、この町で公演をするとチラシを配っていたのだ

予定の空いていたキラは友人のシンに声をかけ町人に扮して見物へと向かった


広場に作られた特設のステージのテントに入ると観客席は既に満員で
何とか隙間を縫って空いた席を見付け腰掛ける


間も無く片目に大きな傷跡のある座長が杖を片手にステージに立ち口上を述べる

観客達の期待を煽る話し方にキラは『彼は座長以外なら議長や国王になれそうだ』とぼんやりと考える

そして座長がステージから退きライトが消えると華やかな音楽が流れ
ステージの更に一段高い位置にスポットライトが照らされる

割れるような歓声が上がり、顔をしかめるもそちらに視線をやり息を呑む

スポットライトに照らされているからだけじゃなく
彼女自体が光を発しているのかと錯覚を覚える程に神々しさを纏い
華やかな音楽に合わせて楽しげな曲を紡ぎだす歌姫


一曲歌いきり暗転すると拍手喝采でキラも無意識に手を叩いていた


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