□償い
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「う、うぅ…もう耐えられません!!
辞めさせて頂きます!!」

「はいはい、じゃあさっさと出て行ってくださいな?」

泣きながら訴えるメイドに冷たくシッシッと手を振りながら追い出す

「はぁ…まぁた居なくなっちゃった…」

「全く…昨日使用人募集のチラシを回収させたばっかりですのに」

「あ、でもラクスその後また暇だから
一時間以内に貼ってってまた貼りに行かせたじゃない」

「まぁ、では丁度良かったですわね」

バタバタとメイドが出て行くのも気にせず優雅にティータイムを楽しみながら笑う二人

ある町の有力者の姉妹、ラクスとルナマリアは容姿端麗で有名だったが
それ以上に有名なのが、二人の性格だった

今まで苦労を知らず、たくさんの人が跪くのが当然な生活を送って来たせいか
かなりの我が侭なのだ

趣味は使用人いびりな二人

ほんの僅かな動きにも常にビクビクしてストレスで辞めて行く使用人は後を絶たない


その時、使用人頭が現れ新しい使用人が採用されたと告げる

「そう、では連れて来てくださいな?」

ラクスに言われ使用人頭が二人の使用人を連れて来る

鷲色の髪にアメジストの瞳を持つキラと
漆黒の髪のルビーの瞳を持つシンの兄弟だと紹介される

「…ふぅん…ラクス、私シンもーらい!」

「あら、では私はキラですわね」

「「…?」」

クスクスと笑いながら話す姉妹に微かに目を瞬かせ首を傾げる

「二人はそれぞれの使用人
だから私達の命令は絶対ですからね」

「は、はい。
勿論、お嬢様方のお役に立てるよう誠心誠意勤めさせて頂きます」

キラの返答にラクスとルナマリアが浮かべた無邪気な笑みの意味を
キラとシンは身を持って知る事になる


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