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□蜘蛛の巣の蝶
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そして当日
ラクスはキラの希望でチューブトップのロングドレスに半袖のボレロを羽織り
腕以外は鎖骨がギリギリ出るかという比較的露出の少ない姿でお店に出ている
「あれ?うわーラクスちゃん久しぶりだね〜!
結婚で辞めちゃって寂しかったよ〜」
「まぁ、お久しぶりですわ
ふふ、そう言っていただけて嬉しいです」
元ナンバーワンだからか…ラクスの周りにはあっという間に人が集まっていた
ラクスの元固定客なんかは挙ってラクスを指名し、どんどんボトルが空いていく
「ラクスちゃんお店復帰したの?
そうならまたラクスちゃん指名で通うよ」
「ふふ、嬉しい言葉ですが
今日は10周年記念パーティーなので特別ゲストですわ
明日からはまた専業主婦業に専念ですの」
ニコニコと、営業スマイルで話をするラクスを少し離れたカウンターに座り場にそぐわない程の仏頂面でウーロン茶を飲むキラ
酔っ払ったラクスを連れて帰る事を考えるとアルコールは摂取出来ない為、店内で唯一のシラフだった
「えっと…キラくん、ごめんなさいね?ラクスちゃん引っ張り出しちゃって…」
「マリューは気にすんなって
坊主が嬢ちゃんを独り占めしたのが悪いんだしな」
「ムウさん煩いです
自分だって結婚したらマリューさん引退させる気のくせに
マリューさん、気にしないでください
引き受けるって決めたのはラクスですから」
ウーロン茶を飲みながらフラガに冷たく言い放ち、マリューには微笑みかける
「ラクスちゃん、愛してるよ〜!」
「まぁ、ありがとうございますわ〜」
酔っ払った客に対してニコニコと、営業スマイルのまま相手をするラクスの様子にキラの手元からビシッと嫌な音が聞こえる
「あ…すみません、マリューさん
布巾貰えますか?」
「え、えぇ…どうぞ…」
「は、はは、ダメだなぁマリュー
グラス弱ってたみたいだぞー?」
「ほんと、次からは気をつけなくちゃねー
あ、あはは…」
乾いた笑いを浮かべる二人を尻目に布巾で手とテーブルを拭く
「さてと…マリューさん、控え室とラクス借りていいですか?」
「どうぞ…ごゆっくり…」
マリューに了承を得ると立ち上がりラクスの座る席の前に立ち軽く手招きをする
そのまま控え室に向かうと少ししてラクスも控え室に入ってくる
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