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□希望
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「失礼します、今日から入社しました、ミーア・キャンベルです」
「あ、キャンベルさん、おはよう
現社長秘書のマリュー・ラミアスです
キャンベルさんに引き継ぎが終わったら産休に入っちゃうから短い間だけど、宜しくお願いします」
「はい、ご指導ご鞭撻、宜しくお願いします」
優しそうな笑みを浮かべるマリューに少しホッとしつつ、頭を下げる
「社長が出社してくる時間だから朝の挨拶に行きましょうね
先日、先代が引退して世代交代したばかりでけっこう若いから驚くわよ?」
「はい!
まぁ、お若いのに社長なんて凄い方なんですのね(ヤマト家の跡継ぎの顔が漸く見れる訳ですわね…)」
マリューの後に続いて社長室に入ると丁度鷲色の髪の青年が鞄を机に置きフカフカな椅子に腰掛けたところだった
「おはようございます、社長
今日から私の後任のミーア・キャンベルさんも着くようになりました」
「おはようございます、お初にお目にかかります
ミーア・キャンベルです
本日より精一杯働かせて頂きます」
深々と頭を下げるとふぅん、と興味無さげな反応が返される
(な、何なんですの!?
やっぱりヤマト家の人間は礼儀もまともに習わない録でもない人なんですのね!
顔は…まぁ、平均よりちょっと上みたいですけど)
最悪な第一印象のまま、あっという間に月日は過ぎ
ラクスはすっかり仕事に慣れマリューも予定より早く引き継ぎが終わり産休に入る事になった
そしていよいよラクス一人で社長秘書として働く日
何時ものように出社し、1日のスケジュールを確認する
(今まではマリューさんしか会議室に入れない事もありましたが…
いよいよ今日から私一人…
情報たっぷりな会議も参加出来ますし
何より、社長であるキラ・ヤマトの弱味を握ってやりますわ!!)
違った意気込みをしながらぐっと拳を握り締め気合いを入れると社長室に向かう
まだキラは出社していない為、ラクス一人
数ヶ月の勤務でキラが嫌いだからと社長室には監視カメラを設置していない事や書類の締まってある場所も覚えた
チラリと時計を確認してまだ余裕があると頷き、部屋を物色し出す
「んー…確かここら辺に…」
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