□弾丸飛び交うこの世界
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いつか私は元の世界に帰る

この国を…友人達を…彼を置いて

荷物はあまり増やしたくない

だって整理するのに時間がかかるから…

離れがたく、なるから…

きっと彼を置いて私はいなくなる

その時、彼はどうなるのかしら?

少しくらい、悲しんでくれるかしら?
それともいつもみたいに胡散臭い、無駄に爽やかな笑顔で旅に出るのかしら?

空っぽだった小瓶に中身が溜まっていく

もう残りは少ないのだと知らされているかのよう

「…キラが旅に出て何時間帯が過ぎたのかしら…」

もうどのくらい時間帯が変わったのかはっきりと解らない

つまり、そのくらい会っていないという事…

後悔しないように、会っておきたかったのに…

「…お姉さま…っ!?」

ポツリと呟いたらいきなり腕を引かれて体が反転させられた

「久しぶり、ラクス!
元気にしてた?」

「…キラ…ようやく帰って来ましたのね…
まったく、時計塔に行って帰ってくるだけで一体何時間帯かかるんですの、あなた…」

そこにはずっと待っていた人物
ハートの城の騎士、キラが目に痛いくらいの赤い軍服を身に纏って立っていた

「いやぁ…時計塔が見えてるのになかなか着かなくてさ
やっと着いたと思ったら今度は城に着かなくて
あ、でも、前は10時間帯だったのが今回は8時間帯だったから大分進歩したと思わない?」

「普通はそんなにかかりません!
一本道で迷うなんて…考えられませんわね」

呆れたように告げる私に無駄に爽やかに笑いながら、それより、と告げる

「っ!?」

いつの間にか距離は無くなっていてキラの腕の中にすっぽりと収まっていた


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