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□犬属性な後輩で10題<完結>
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眩しいほどのその笑顔


目覚まし時計が鳴る数分前にパッチリと目が覚めて
小鳥が囀ずり、暖かな太陽の光がカーテン越しに降り注ぐ

「ん〜…目覚ましにも勝てましたし、今日も良い日になりそうですわぁ…」

ベッドの中で上体を起こして軽く伸びをする

部活はやっていないから、朝練とかで早く登校する義務は無いけれど
ギリギリよりはマシだと思いながらパジャマのままでカーテンを開く

カラリと窓を開いて、外の空気を吸い込むとまだ肌寒い風が肺に入って頭をすっきりさせる

そして、何時ものようにそっと地面に視線を下ろす

どうか今日は居ませんようにと願いながら…

「あ、クラインせんぱーい!
おはようございまーす!!」

「…ヤマトくん…近所迷惑なんで早朝から叫ばないでください…」

やっぱり居た、とガックリと肩を落としてしまうのは仕方がない

彼は後輩のキラ・ヤマト

何故か毎朝迎えに来ては眩しい笑顔で玄関前で待っているのだ

別に付き合っている訳でも、告白された訳でもない

それなのに何故自分に付きまとうのか…と思いながら窓を締めて急いで制服に着替える

そして、階下に降りていけば何時ものように彼は母にリビングに上げてもらっていて
父と一緒に食卓に座りトーストにかぶり付いている

「キラくん、トーストのお代わりあるわよ?」

「わぁ、いただきます!」

「キラくん、好き嫌いせずに野菜もちゃんと食べるんだよ?」

「うぅ…わかりました」

この両親も馴染みすぎだろう、と思わなくもないが何よりキラが先輩の家で寛ぎすぎだと思う

「あ、クライン先輩早くご飯食べないと、遅刻しちゃいますよ?」

「…いただきます…」

言っても仕方がない
私も、両親も、彼の眩しい笑顔に逆らえないのだから…

そう内心ため息を吐きながらトーストにかじりつくのだった


end
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