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□犬属性な後輩で10題<完結>
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気付けば懐かれてました

後輩、キラとの出会いは4月
入学式当日だった

ラクスは生徒会役員のシホに手伝いを頼まれて受付を担当していた

名前を聞いて、名簿からクラスを確認して教室への行き方の書かれた地図を渡し
「おめでとう」と微笑んで胸に桜型のリボンを付けてあげる

簡単な仕事

受験の時にも同じように手伝いをしたから慣れたものだった

皆、今日から始まる高校生活に期待した表情を浮かべていてラクスもつられて笑顔になる

「ん〜…式まであと十分…
流石にもう来ませんわね…」

初日とあって新入生は早めに来ていて、名簿はほとんどチェックが点いていた
一人だけまだ来ていないが時間的に欠席かもしれない

一緒に受付をしていたフレイとミリアリアはもう来る人も居ないからと別の仕事に駆り出されている

ラクスは万が一の為にとギリギリまで残ってその後に受付を片付けるように指示されていて
一人、ぼんやりと昇降口前の桜を眺めていた

すると、バタバタと駆け足が聞こえ視線を向けると慌てて受付に向かって来る一人の少年

「す、すみません!新入生のキラ・ヤマトです!!」

「あ、は、はい…えと…クラスは1年1組で…こちらが教室への地図……
いえ、もう体育館に向かった方が良いですわね
案内しますわ」

「え?でも…受付…」

「貴方が最後ですから…ほら、急いでくださいな?あと五分ですわよ」

戸惑うキラの手を引いて、昇降口から体育館への一番の近道を走る

「良かった、まだ入場してませんわね…
遅くなりましたが…入学おめでとうございます、ヤマトくん
廊下を走ったのは二人だけの秘密ですからね?」

「は、はい…ありがとうございます、先輩…」

軽くウィンクすると頬を赤らめるキラの胸に桜型のリボンを付けてやり
1年1組の担任が居る集まりへとキラの背中を押してやり見送る

無事に列に並び、入場したのを見届けてから受付に戻り片付けをしてその日は帰宅した

翌日、登校すると校門で誰かを探している様子のキラに遭遇する

「あ!先輩、おはようございます!」

「あら、ヤマトくん、おはようございます」

「昨日はありがとうございました!」

「ふふ、間に合って良かったですわね
あ…自己紹介してませんでしたわね、2年1組ラクス・クラインです」

「ラクス・クライン先輩…
これからちょくちょく頼るかもしれませんが、よろしくお願いします!」

他の生徒も居るのにガバッと頭を下げる姿に目を瞬かせる

それでも早速慕ってくれる後輩が出来てラクスは内心喜んだのだった…

その後、頭を抱えたくなる程に懐かれるとは知らずに……


end
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