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□[声優さんに恋(5)]<完結>
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これは台詞じゃない


「えと…か、『会長ならどうなされますか?』」

「『そんなの知るわけないだろう
自分の好きにすればいいだけの話じゃないか。』」

「んと、えと…『すみ……ません』」

戸惑いつつ、懸命に台詞を話すラクス

実は、キラに頼まれ次の作品の練習相手になっているのだ

原作の少女漫画はもともと知っていたのだが
好きなキャラがキラが担当すると知り感激したのもつい先日の事

そして、二人の休みが合ったからと一緒にバルトフェルドの喫茶店に行った時に頼まれ
防音が行き届いてるからとカラオケに移動して今に至るのだ

「んと…えっと…『ハァ…全く。
数学が得意ではないとはいえこれはひどすぎます
会長は私がいなければこんな計算の一つも出来ないのですか?』」

長台詞を言い終え、ホッとするもキラが次の台詞を言わず
もしかして間違えていたのかと渡された台本を確認する

「うん、そうかもしれない…
キミがいないと、駄目かも」

「…え?」

きょとんと目を見開き、台本とキラの顔を交互に見る

(今の、台本に書いてない…
ヤマト様、間違えたの?
それとも……)

ドキドキと期待して胸が高鳴り言葉に詰まってしまう
「…練習に付き合ってくれてありがとう
少し休憩しよっか」

「え?あ、は、はい…」

慌てて頷きキラがメニューを眺めるのを盗み見ながら先程の言葉は
台詞だったのか、それとも本心だったのか…
どっちなのだろうとモンモンと悩むラクスだった


end

(『』内台詞
ふるかわしおりさんの『ファイブ』より)
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