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□[声優さんに恋(5)]<完結>
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耳に触れる


「ピアス開けちゃった〜」

ニコニコと笑いながら、キラキラと光る石の付いたピアスを自慢気に見せるフレイ

先週、婚約者のサイと行くのだと意気込んでいたのだが週末に開けたらしく
月曜日の今日、朝から何度目か解らないピアスの話を聞かされる


「じゃあ、また明日ね〜」

「はい、また明日」

放課後、手を振りフレイ、ミリアリアと別れ帰宅する

途中、ノートが無くなりそうだと思い出してデパートに寄る

雑貨屋や、文房具、本屋等様々な店が入っており
常に学生で賑わっていた

「んっと…英語のノート…あ、ありましたわ」

お気に入りで使っている種類を見つけ、安堵しつつ手に取り会計を済ませ
ついでに新刊チェックもしようと本屋に向う

「あ…」

本屋の隣の雑貨屋に目を奪われ、導かれるように入る

キラキラと、繊細な光を放つピアスに釘付けになる

台座に小さくアメジスト、とシールの貼られたそれは
キラの瞳に似ていて目が離せなくなる

「…ピアス、かぁ…
……やっぱり開けるときは痛い、んでしょうか…?」

「ラクスちゃん、ピアス開けるの?」

「え?…っ!?や、ヤマト様!?
い、いえ…その友達がピアス開けて…可愛いなって…」
突如現れたキラに戸惑い、狼狽えつつ何とか説明する

どうやら仕事帰りに寄って偶然ラクスを見かけて声をかけたらしい

「そっか…でもさ、ラクスちゃんにピアスはまだ早いんじゃない?」

「え…やっぱり、子供っぽい、ですか?」

キラの言葉に微かに肩を落とし、
フレイのような大人っぽさは無いのかと落ち込む

「ううん、そうじゃなくて…」

「え…んっ」

ふわりと、髪を透かれ
キラの長く骨張った指が頬に触れ
そのまま、耳のラインを指先でなぞり
ふにゅふにゅと耳たぶを親指と人差し指で挟まれ揉まれる

「や、ヤマト様…?」

「ラクスちゃんの綺麗な肌に
ピアスだとしても、傷が付くのは勿体無いからさ…
高校卒業くらいまでは、そのままがいいな?」

ふわりと、色気たっぷりに微笑むキラに危うくラクスは鼻血を噴きそうになるのだった…

「や、ヤマト様がおっしゃるならピアス開けません!」

「うん、あ、どうしても開けたい時は言ってね?」

「ヤマト様に相談、しますの?」

きょとんと首を傾げれば
ニッコリと微笑んで、キラの顔が近付き体が硬直する

「ラクスちゃんの肌に穴開けるの
他の奴じゃなくて僕がやりたいから、さ…」
「…っ!?」

キラの吐息が耳に触れラクスは腰が抜けそうになるのを必死に耐えながら
真っ赤な顔で何度も頷くのでした


end
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