song

□THE OVER
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どんなに言葉の意味を調べても どれほど強くイメージしてみても
一人きりのままじゃ 知れなかった あの 探してた愛は君そのものなんだ



「キラ、この後一緒にゲーセン行かね?」

「ごめん、今日はちょっと…」

卒業で湧く友人達から逃げるようにその場を後にする
仲間内で唯一進路が県外の僕はきっとこれが最後だろうと思いながらも輪から離れる

なにもかも嫌になってしまう程に自分の事を知りすぎた僕は
いつからか、群れることも、人の目も嫌で全てから逃げようと生きていた

何も無いのに、兎に角悲しくてたまらなかった
全てに見放されたような気分で、こんな時代じゃありのままで生きていく事なんで出来るわけ無い

「キーラ!まぁた一人で先に帰ろうとする!」

「ラクス…いや、ちゃんとラクスの事待ってるつもりだったよ」

幼馴染みのラクスが皆の輪から外れ後ろから腕を掴み頬を膨らませて怒る

ずっと側にいてくれる、そんな大切な存在のラクスだけは失いたくなくて
本当の弱い自分を隠して、強いふりをしてつくろっていく

このまま何も無い、曖昧な関係じゃいつか、ラクスの事を失ってしまうだろう
それを分かっているからもどかしかった

テレビの中の俳優や大富豪やビッグスターなら
君を満足させれるだろう、そして幸せにもするだろう
でも僕は君を想うしか無い 僕は君を想うしか無い


「ラクス…っ」

「はい?どうしましたの、キラ」

「僕は、君が…っ」

伝えようとして何かが頬に当たり空を眺め立ち止まる

パラパラと降り注ぐ、傘をさすかどうか迷う程の弱い雨
どしゃ降りになることもない、思い切りの無さは僕のようだった

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