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□恋に頑張る二人
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「…あ、ラクス!?」

『も"じも"じ…』

「ラクス…?」

通話口から聞こえたのは普段の愛らしい声ではなくて、がらがらに枯れた声と咳き込む音だった

『ギラぐ…げほ、げほっ!』

「ラクス!?大丈夫?風邪引いちゃった…?」

『っ!!…ご、ごめ、なざ…ひっく…うぅ…
デート…楽じみ、に…ごめ、なざ…』

問いかけた途端、ぐしゅぐしゅと鼻を啜る音も聞こえて泣いているとわかり血の気が引く

「な、泣かないで!?大丈夫、大丈夫だから…」

『ふ、ぇ…だっで…ギラぐ、に会うの…だのじみにじで…ごめんなざいぃぃ』

うわぁぁん!と泣きじゃくる声に、どうして僕はラクスの側に居ないんだ、と考え
そうか、と名案を思い付く

「ラクス!大丈夫、泣かないで?
今から君の家に行くから…」

『う…ぐすん…え?ぞんな…っ
う、移しちゃう、がら…』

「彼女が泣いてるんだから、笑顔にしてやんなくちゃ、でしょ?
それに、今日お父さん居ないんでしょ?
一人じゃ危ないからさ…」

『あ…ま、まっ…』

ラクスが断る前に通話を終了させ、急いで玄関に向かう

「あら?キラ、早くない?」

「うん、彼女が風邪引いちゃったらしいから、看病してくる」

「…彼女の迷惑になるんじゃないわよ?」

「煩いな」

母、カリダを軽く睨み付けて外に出ると凍えるような寒さだった

コートのボタンを一番上まで留めると自転車に跨がる

急いでスーパーに向かい、スポーツドリンクと桃缶を籠に放り込み
その他にお粥の材料を幾つかは入れ会計を済ませ次にドラッグストアにも寄り冷えピタやら薬やらを買い込むと自転車を全速力で漕ぐ

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