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□恋に頑張る二人
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帰りに送る為、もう見慣れたラクスの家の近所を抜け
ラクスの家の駐輪場に自転車を停めさせてもらい、チャイムを鳴らす

少し間があって、鍵の開く音の後に扉がゆっくり開かれる

「ぎ、ギラぐん…」

「おはよう、ラクス…
体調はどう?」

最近は付けていなかった分厚いメガネに、ボサボサの髪で、パジャマの上からカーディガンを羽織った
熱で真っ赤になり、大粒の涙を溢すラクスが出迎えてくれた

ラクスが冷えてしまう、と家に上がらせてもらい
熱で身体中が痛むのだろうラクスを抱き抱えて自室のベッドに寝かせる

「う、ぅ…ご、ごめんなざいぃぃ…
ほんど、なら…デート…ツリー見るっでぇ」

熱を出すと泣きやすいのだろうラクスは眠るのにとメガネを外してやり横たえてからずっと泣きじゃくっている

「ツリーは来年も見れるでしょう?
今はラクスの体調を治すのが優先」

「ぐす、ひっく…らいね、も…一緒に…いて、くれます、の?」

「うん、ずっと一緒…ツリーも、桜も、海も、紅葉も…
毎年一緒に行こう…?」

「…うん…!」

優しく微笑んでぺたりと張り付いた前髪を払ってやれば、嬉しそうに、無邪気な笑みを向けてくる

「ひ、冷えピタ買ってきたから貼ろうね?
あ、お粥と桃缶もあるし…その前に飲み物かな?」

慌ててスーパーの袋を引き寄せ冷えピタを開封しながら、早口に捲し立てる

「ん…のど、渇いた…」

「はい、コップ勝手に借りちゃったよ?」

背中を支えて体を起こしてやり、グラスにスポーツドリンクを注ぐとラクスに手渡す

コクコク、と小さく音をたてながら飲み干すと幾分喉が楽になったらしい

ゆっくりと体を横たえて、おでこに冷えピタを貼ってやると冷たさに身震いするラクス
頬を撫でてやれば、熱でとろんとした目でふにゃりと微笑む

「キラくんのて…冷たくて…気持ちいい…」

「っ!!…ラクス…」

愛しい彼女が熱に浮かされた視線で見てくるなんて、とドキドキしながら名前を呼ぶも返事はなくて
ぐっすりと眠ってしまっていた

「…お粥、作ってくるね…」

頭を撫でて眠るラクスに告げ、静かに部屋を出て
心のなかで謝罪しながらキッチンを借りてお粥を作成する

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