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□不良な彼とクリスマス
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キラはたまに、予測不能な行動を取るから自分は毎回振り回される…と風の音を聞きながらぼんやり考える
「…ちょっと待ってて」
暫く走って着いたのはフラガさんのバイクショップとも取引のある別のバイクショップ
何度かキラに連れてきてもらったこともある店で、キラはシートの中から荷物を出すと店内に入って行ってしまう
直ぐに戻って来たかと思えばなにも言わずにまたバイクを走らせる
一体何なのだろう?と思っていると、ラクスの視界にある物が映る
雑誌で見て、実物を見たいとキラにねだり、約束していたけど諦めた隣県のクリスマスイルミネーションの目玉でもある光のツリーだった
「なん、で…」
ポツリと呟くのとほぼ同時にバイクを駐輪場に停車させ
ラクスの脇の下に手を挿し込んで下ろしてくれる
ヘルメットを外して、髪も梳かしてくれて…その間もラクスは現状を理解できていなかった
「…君が、見たがってたから…
ムウさんに無理言ったんだよ…」
そしたらお使いを頼まれた、と呟くキラに先程の店に寄ったのがそれか、と納得する
「えっと…休憩時間、なんじゃ…?」
「休憩時間だよ?このあとラクスを家に送ったら時間ぎりぎりまで修理の手伝いだし
明日は今日の抜けた分タダ働きだしね」
着替える時間も惜しんだんだと肩を竦めるキラに感謝の気持ちが沸き起こるも、先日の発言を思い出す
「でも、でも…クリスマスぐらい、一緒じゃなくてもった…」
「…君、僕がそれ本気で言ってると思ってんの?」
眉間に皺を刻み半眼になるキラは正しく恐れられる不良の顔そのままで
周りにいる関係のない人達が小さく悲鳴をあげたがラクスは動じない
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