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□涙の味
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当日、ミゲルの案内で店に入ると一番端に座り挨拶もそこそこに食事を始める
「悪いね、こいつ人数合わせで連れて来たからさ…」
「そうなの?実は遅れてる子も急遽で呼んだ子で…
誰とも付き合わないって豪語してて…」
幹事同士が話すのを聞きながら、自分もだが急遽で呼ばれた子も両方人数合わせならいらなかったんじゃ?と思ってしまう
「遅れてごめんなさい!」
「あ、ラクス!」
「え…」
記憶より微かに落ち着いた声に、忘れられない名前
顔を上げれば向こうも気が付いて、目を見開く
「え…き、ら…?」
「なんで、ラクスが…」
「え?あれ?お二人さん、知り合いだったのか?
なんだよキラ!こんな美人と何処で知り合ったんだよ!」
ミゲルがからかうように軽く肘で押すのを諌めながらもラクスから視線は反らせない
「…幼稚園からの幼馴染みで…フラれた元カノ…
そんで、僕の今でも好きな人だよ」
「っ!!」
僕の説明にラクスは息を飲み、ミゲル達も戸惑い、顔を見合わせる
「わ、私…やっぱり帰ります…!」
「ラクスが帰るなら僕も帰る
空気悪くしてごめん」
席に着かないまま、くるりと踵を返すラクスに慌てて立ち上がり隣に並び手を握り店を出る
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