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□開かない鍵
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「職業が気に入らないだけならば、そんなこと気にしなければいいだけだよ
生活に不自由させない、専業主婦になってほしい
こんなにも愛しい君を閉じ込めて誰にも見せたくないんだ…」

「そう、私は何としてでも証拠を掴んであなたを牢屋にぶち込んでやりたいですけど
とにかく、泥棒の貴方と付き合う可能性はありません
足を洗って出直してきなさい」

冷たく吐き捨て、ラクスは踵を返すと
カツカツとヒールを鳴らしながら、キラキラと黄金に輝く旭日章の掲げられた建物…警察署へと入って行くのを見送った

「うーん…一筋縄ではいかないなぁ…」

今日は諦めるか、と肩を竦めて愛しい彼女の勤務先でもなきゃ関わりたくもない建物から足早に立ち去る

「僕は運命の出会いだと思ったんだけどなぁ…」

たまたま、盗みに入ろうとした日に非番だった彼女と出会い
道具や服装から怪しまれたが、侵入前で厳重注意しかないと憎々しげに呟いたラクス
そんなラクスに一目惚れをして、本職や表の経営者の顔も全てさらけ出して交際を申し込んだのに

「いつになったら、ラクスの視線が人間に向けるのに変わるのかなぁ…」

出来れば、そちらの趣味に目覚める前にお願いしたいものだと、ひとりごちるキラだった


end
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