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□開かない鍵
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「ラクス、君が好きだよ
僕と付き合って」

「ありがとうございます
でも、私は貴方が嫌いです」

フワフワとした柔らかな髪はするりと掌から逃げて、にっこりと微笑む愛しい彼女も目の前から逃げていく

いったい、何度目だろう?

がくりと肩を落として彼女の白磁のような肌と黒いパンプスを見つめるのも、両手両足の指では足らない

一目見た瞬間に乱暴な女神様に恋に蹴り落とされて
直ぐ様交際を申し込めば、汚物を見るような視線が返された

正直、女には不自由しない生活をしてきただけにその視線に少なからず固まったが
有り難い事にそちらの趣味に目覚めることはなかった

いったい、彼女は何が気に入らないのだろう?

容姿は軽く微笑めば正面にいた女性が頬を赤らめ、寄ってくるレベル
身なりも当然、彼女に釣り合う為にキチンとしたブランドで、センスも悪くない筈
懐だって寒くない。
財布が薄くなった事はないし、残高は全て用意すれば帯の付いた札束で三大ピラミッドが再現できる

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