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□誘拐の仕方
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「キラくんじゃなくて…あの人…探して、ましたか…?」
ラクスの父親シーゲルさんは既に亡くなっていて、今の父親は母親の再婚相手…つまりは養父になるのだが
ラクスは養父を“お父さん”ではなく“あの人”と呼ぶ
思春期の子供の親の再婚について思うところがあるのだろうと別段気にはしない
現に、前にラクスは自分の父親はシーゲルだけ、と言った旨の発言もしている
もしかしたら今回は親子喧嘩の果ての家出かも知れないと思う
「あー…うん、必死に探してた
僕の家によく遊びに来るから行ってないかって電話までしてきたし…」
捜索場所が被らないように二手に別れた際も酷く焦っていた
きっと、血の繋がりの事で喧嘩でもしたのだろうと安心させるため、出来るだけ優しく声をかける
「…私、帰りません…」
「はぁ!?あのねぇ、人がせっかく探しに来たのに…」
「だって、あの人私に変なことするから…」
膝を抱えて俯き、ポツリと恐いという呟きと共に溢された言葉にゾクリと嫌な感覚が背筋を這う
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