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□青の中の赤12
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キラの療養中、不謹慎ながらラクスは幸せでもあった
ザフトに連絡をして、動けるようになるまでクライン邸での治療に専念する事を半ば強引にクルーゼに納得させた今
一日中、キラが居てくれるのだ
意識を取り戻した後のキラは、地球で戦闘していたはずなのにプラントのクライン邸に居ることに驚いたものの
大粒の涙を溢すラクスに困ったように笑いながら、心配かけてごめん、と掠れた声で呟いた
ラクスの献身的な看護のおかげか、コーディネーター故の治癒力の高さのおなげか…キラの包帯は日毎に面積を減らしていった
「ららら〜♪」
鼻唄混じりにお茶を用意するラクスにクスリと微笑んでガラス越しの丁寧に手入れされた庭を眺めるキラ
戦闘から離れて、ラクスとシーゲル、マルキオ以外は滅多に人の来ない部屋はまるで現実感がなかった
ラクスが意図的に戦況について触れないこともある
このまま、ずっと一緒にいるのも幸せなのかもしれない、そう思うほどにキラは疲れていた
ほんの数日前
アスランが行方不明になり、必死の捜索の末なんとか合流し
アカデミーからの友人ニコルがアスランを庇って戦死して
そのアスランが放った一撃が、ほんの数ヵ月前まで一緒にいた友人、トールの乗るスカイグラスパーのコックピットを破壊した
そして、自分は短い期間ながら上司として気にかけてくれていたフラガ大尉によって、MIA宣告をされる事態になった
短い間に色々な事が起こりすぎていた
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